あとぢゑ~る

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大人の発達障害と麻雀初心者の歩む道

🌅『古事記』より『日本書紀』が好きな理由

日本神話を別名「記紀神話」ともいう。
記紀」とは『古事記』と『日本書紀』の略だ。

で、この『古事記』と『日本書紀』なのだが、古事記が大好きだという人はいても、日本書記を推している人はあんまり見かけない。
「日本書記 ファン」で検索したら古事記ファンのサイトが出てくるほどには。
ファン曰く、古事記は自然体で抒情的なところが良いらしい。


しかし私は『古事記』よりも『日本書紀』の方が好きだ。
理由は単純に分かりやすいから。
古事記は話があっちに行ったりこっちに行ったりして辻褄が合っていなかったりするし、歴史書としては尻切れトンボだ。

全ての古事記ファンがそうではないと思うが、たまにアンチ日本書記みたいな人もいる。
日本書記は国家の正当な歴史書として編纂されている分、作為的で、当時の体制に都合よく書かれているのが胡散臭いという理由のようだ。
まぁ、その気持ちは分かる。
天武天皇のくだりとか、大友皇子の扱いとか、ちょっとね……)
確かに史書なんてものは、敵対する勢力や特定の君主をわざと誇張して貶めたりすることも可能だから。

しかし、『史記』や『正史 三国志』のような古代中国の歴史書を読んでいると、『日本書紀』の方がなじみやすい。
一応は、これホントかな~と疑いを入れながら読んでもいるのだが。

はじめは神話を目的に読み始めたので、上巻の「神代」だけ読んで、しばらく積読だったのだが、読み進めると、むしろ後の方が面白くなってくる。
神功皇后なんて実在したかどうか疑わしいと言われているが、今より遥かに男尊女卑だったであろう古代に、このような戦う女リーダーが登場するのは非常に興味深い。

下巻になると、推古天皇聖徳太子蘇我馬子や、大化の改新といったおなじみの人物や場面が登場する。
蘇我馬子vs物部守屋のくだりも、教科書では知りえない具体的な記述があって、古今変わらぬ権力闘争が繰り広げられていることが分かる。

割りと興味深かったのが、女性天皇がいずれもあっさり即位していること。
現代なんか男系男子でないと天皇になれなくて、それで女性天皇にあーだこーだ言ってるけど、初の女性天皇と言われている推古天皇なんか女人であることなんか一行も問題にされていなくて、重臣たちに「天皇になってください」と頼まれて即位している。
時の権力者・蘇我馬子の姪だからというのもあるだろうが、だからといって、推古天皇が馬子の傀儡ってわけでもない。
「その頼みを聞き入れちゃったら、私も叔父さんも悪名を遺すことになりかねないから、叔父さんの頼みでもそれだけは聞けないから!」って、きっぱり断ることもしている。
上巻の神功皇后もそうだけど、女性だからという蔑みの表現は意外と見られないなぁと。

古事記天皇の政治的な記録はあまり詳細に書かれていない。
どちらかといえば、歌を多く記録している。
古事記が好き」という人は、そういうところが理由なのだろう。

正式な史書は『日本書記』であって、『古事記』は副読本らしいので、そういった観点で読む方が、自分みたいなタイプにとっては理解が進むかもしれない。

日本書紀』は今年に入って、このようなシリーズの刊行が開始されたようだ。

やっぱり歴史は面白い!