Fiona Apple "Fetch The Bolt Cutters"
Fiona Appleの5thアルバム"Fetch The Bolt Cutters"を聴いた時、良い意味で度肝を抜かれた。
フィオナ~~! まだこんな凄い音楽作れるのか~?!
前作"The Idler Wheel Is Wiser Than the Driver of the Screw and Whipping Cords Will Serve You More Than Ropes Will Ever Do"を聴いた時、彼女はとても疲れているのではないかと感じた。
哀しみを通り越して疲れていると。
あれは自身を癒すためのアルバムだと勝手に感じていた。
私は英語が分からないので、音楽だけで感じたことなのだが。
いや、もしかしたら私が疲れていて、勝手にそういう音として感じただけなのかもしれない。
それはともかく、前作には1stや2ndのような激しくてこってりしたフィオナはいなかった。
狂気は潜んでいたが、攻撃的ではなかった。
それだけに、前作からまたまた長いブランクを経て発表された今作は、前作のような前衛的な音作りに加えて過去作のような激しさが戻り、フィオナ・アップルならではの難解さを伴いながら、初期のファンも満たしてくれる内容となっているのではないか。
フィオナ・アップルの音楽と言えば、あの痩身からは想像できないほどの野太い声と、重たさと軽やかさが表裏一体のピアノの音色だが、今作はピアノは前面に出ておらず、代わりに不規則で乾いたパーカッションが特徴だ。
それにしても、最初の曲"I Want You To Love Me"でピアノの音色が聴こえた途端にもう涙が出てきてしまい、どうしてこの人の音楽はこうも私の琴線に触れてしまうのだろうか。
"Newspaper"と"Cosmonauts"が私のフェイバリット。
歌詞を見ても一体何がNewspaperなのだろうと不思議だったが、これは彼女がランダムに付けたファイル名のようなものだとか。
Fiona Apple - Newspaper
Fiona Apple - Cosmonauts
訴えるかのように、次第に強さと激しさを増していく"Newspaper"
Start it off, start it off, start it off…と呪文のように繰り返す"Cosmonauts"
フィオナがシャウトするたびに、自分の中に沈み込んでいた激情が引っ張り出される。
まだ自分の中にこういう感情が残っているんだと再確認させられる。
おれにはまだフィオナ・アップルが必要なんだ!!
いや、これからもずっと必要なのだと。
