あとぢゑ〜る

大人の発達障害と麻雀初心者の歩む道

💿シャーデーでまったり

最近、シャーデーばっかり聴いている。
なぜだろうか。
やはり加齢のせいだろうか。

Sade "The Ultimate Collection"

これがすごく良かった。
2枚組なんだけど、どっちも同じくらい聴いている。
リマスター盤で音も良くなった。

 

Ultimate Collection

Ultimate Collection

  • アーティスト:Sade
  • Epic
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CD2収録の"The Moon and the Sky (Remix feat. Jay-Z)"がカッコいい。

Sade - The Moon And The Sky (Remix) (Audio) ft. Jay-Z

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Discography

シャーデーSade)は4人編成(女性1人男性3人)のバンド。
バンド名はヴォーカルを担当するヘレン・フォラシャーデー・アデュに由来。
1984年に1stアルバムを出しており、キャリアは非常に長い。

 

1st "Diamond Life"
2nd "Promise"
3rd "Stronger Than Pride"
4th "Love Deluxe"
5th "Lovers Rock"
6th "Soldier of Love"

 

ジャジーで歌謡曲ムードな1stと2nd。
3rdと4thは打ち込みベースなのでクール感がある。
5thと6thは打ち込みを使いつつ、原点回帰したような方向性だ。

 

こうしてみると、シャーデーのアルバムタイトルには'Love'が多い。
3rdには'Love'が入っていないが、"Love Is Stronger Than Pride"という曲が収録されており、このアルバム名を意味するものは'Love'だということが分かる。
シャーデー・アデュは一貫してLove(愛)を歌い続けている。

 

Loveの量産は陳腐になりがちだが、シャーデー・アデュの声なら説得力がある。
彼女の声はハスキーだが、なぜだか聴いていると落ち着くし、癒される。
愛をテーマにしているからなのか。
さすがはSoldier of Love(愛の戦士)。
どちらかというと、音楽スタイルからは愛の職人って感じだけど。

 

ちなみに私の最も好きなアルバムが3rd"Stronger Than Pride"。
"Love Is Stronger Than Pride"の心地よいリゾート感と言ったらない。
暑苦しい夏も、これを聴けば気分だけでも夕涼み。

Sade - Love Is Stronger Than Pride - Official - 1988

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"The Best of Sade"はジャケ買い
背面の目を閉じたアデュがまた美しい。

 

 

📕「十二国記」アニメ設定画集

新潮社が『十二国記』で、また山田章博画伯の本を出してきた。

アニメ設定画集って、かつて講談社から出た公式アニメガイドと内容被ってそうだなと思ったのだが、金額が何と3960円もする。
だからこそ興味が湧いた。
これは、過去に出た二冊の画集『久遠の庭』『青陽の曲』に収録されていなかったDVD等のジャケットイラストが収録されているのでは、と思ったからだ。

 

結果はその通りだった。
DVD・ブルーレイ・CDのジャケットが網羅されている。
山田画伯の絵が主体であり、アニメ絵はほとんど収録されていない。
いわばこれは、山田章博十二国記』画集の第3弾と言ってよい。

 

やはり美麗。買って良かった。

 

王と麒麟の主従絵が多い今回の画集

それに加えて、講談社のアニメガイドには収録されていない設定画も多々ある。


キャラとしては関心が湧きにくい陽子の両親の設定についての山田画伯による記述が面白い。

「仕事仕事と言いながら不倫とかしてそう。」
「陽子の父は虚栄心の強いタイプですから、『いやぁ奥さん、いつまでも若くておきれいでいらっしゃる』と言われるような女性を妻にしている筈。」

……とか。

 

楽俊の第一段階の設定画が……なかなか衝撃的。
いや、まんまネズミ。
尻尾もあの毛がない紐みたいなやつだし。
原作に楽俊の尻尾は毛がフサフサ生えている描写があったはず。

 

こんな楽俊は……嫌だ?

 

画伯的には、楽俊は生活苦でやつれているはずだと思われたらしい。
この案は制作サイドからダメ出しがあって、今のデザになったのだとか。


まぁね、リアル鼠じゃあね。
たぶん、楽俊ってチンチラみたいなイメージなんじゃないかと思うんだよね。

 

誰だか分かります? 答えは画集で。

 

新潮社の公式で中身ちょっと見せ↓

 

設定を読んでいると、画伯がここはこうしてくれとか、ここは手を抜いていいよとか細かく指定してくれているのに、実際のアニメには反映されていなかったよなぁという部分もチラホラ。
制作者のインタビューによると、時間がなく、かなり強行スケジュールだった模様。

 

アニメはもう一回、丁寧に作り直して欲しいね。
過去作は陽子のキャラデザが古臭いし、特にポニテ姿なんか昭和センスだったし。
今度はもっと山田画伯の絵柄に近いものが視たい。
浅野と杉本も無しでね。

 

💿ビョーク/女系を辿る回帰的テーマと前衛的音楽の対比

Björk "Fossora"

ビョークのオリジナルフルアルバムとしては10枚目に当たる『フォソーラ(Fossora)』は、2022年秋にリリースされた。
2024年時点では最新アルバムである。

Homogenicを想起させるCGキノコのアートワーク

「先祖」の女性形である"Ancestress"であったり、ビョークが亡き母を追悼する曲であったり、女系のルーツをテーマにしているようだ。

タイトルの"Fossora"は「掘る人」という意味だが、天を男に、地を女や母に喩えるので、大地を掘ることで女系を辿っていくという意味を表しているのだろう。

 

PVも公開されている"Ancestress"。
5thアルバム"Medúlla"に"Ancestors"という曲が収録されているが、この曲とは似ても似つかない。
"Ancestors"は地中から木乃伊でも蘇ってきそうな、非常に重く原始的な空気を纏っていたが、"Ancestress"はシンプルで明るい。
そのシンプルさに原始的であることを感じさせる。

バックヴォーカルに息子のシンドリ(Sindri)*1が参加しているが、"Her Mother's House"のイザドラほど声は目立たない。

 

ガバとバスクラリネットをベースに持ってくるところが、やっぱりビョークだなぁと思わせるセンスだ。
低音の木管楽器が響かせる音は、心に巣食う陰を引き出されるかのようだ。

"Victimhood"の難解さは、ビョークの真骨頂だ。
この曲を初めて聴いた時、涙が出た。
7thから9thまでは、良いんだけどそこまでハマることがなかったので、ビョークの曲で久々に芯から抉り出されたことの悦びも重なった。

 

Fiona Appleの時も同じことを言っていて芸ナシではあるが、この時も、ビョークはまだこんな激しい作品を作れるのかと思ったのだ。
常に挑戦的であり、前衛でもあり、壮大な音響は変わりないのだが、7thアルバム"Biophilia"以降は、音使いは前衛でありつつも、成熟し、達観したような空気が漂っていたように感じていたからだ。

 

元々この人は後退などしていなかったのだが、表題曲の”Fossora”みたいな激しい曲は久しぶりに聴いたような気がする。
ビョーク自身はシャウトしなくなったが、音響は凄まじい。
極限まで持って行く激しさは、"Pluto"(Homogenic)や"Declare Independence"(Volta)に通ずるものがある。

 

そしてそこからの"Her Mother's House"である。
凄い落差だ。
何しろこのラストナンバーの深さ、静けさと言ったら。
まるで遠い地平線に向かって流れていくような。
これはビョークの亡き母を想う曲らしいが、それを自身の娘イザドラ(Ísadóra*2とともに歌う。
十代の少女のような声をした母親と、大人びた切ない声の娘という対比が面白い。
イザドラの声は透明感があり、それが背景に浮遊するかのように漂っていく。

"Fossora"の激しさに戦慄し、"Her Mother's House"で泣いてしまうのだ。

 

ビョークは50歳を過ぎても、感情を揺さぶられる音楽を変わりなく作り続けている。
きっとこの人は老女になっても前衛であり続けられるのかもしれない。

 

Björk "Fossora"

こちらは通常盤。
ジャケットはデジスリーブケース(いわゆる紙ジャケ)仕様。

Fossora -Digi-

Fossora -Digi-

  • アーティスト:Bjork
  • One Little Independent
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Björk "Fossora(Deluxe)"

マニアやビョークのアートワークも楽しみたい人向けの豪華盤。
ピンナップは付いていないが、ジャケットはハードカバーの絵本のような体裁になっており、CDレーベルはフルカラー。

Fossora -Deluxe/Mediaboo-

Fossora -Deluxe/Mediaboo-

  • アーティスト:Bjork
  • One Little Independent
Amazon

 

 

Ísadóra "bergmál"

娘イザドラのオリジナル曲。ビョークの血を感じさせる。

youtu.be

*1:シュガーキューブスのギタリストだったソール・エルドンとの間に生まれたビョークの第1子。母親に生き写しで、今は髭面の熊男に。

*2:ビョークにとっては第2子で、マシュー・バーニーとの間の娘